私は公務員試験を経て、地方自治体(市役所)で公務員として約7年間働きました。
退職後は、公務員試験の小論文を添削する仕事を受注した経験もあります。
ここでは、そんな元公務員が、公務員試験の小論文対策として「小論文に大事な3つのポイント」について紹介していきます。
公務員になりたいと思っている人や、今後、公務員試験を控えている人はぜひ、参考にしてみてください。
公務員試験の小論文とは?

志望する自治体や公務員試験区分によって、課せられるのが小論文です。
一次試験のペーパーテストと併せて実施する場合や、二次試験以降の面接と併せて行われる場合もあります。
小論文も公務員試験を突破する上では必要な要素の一つ。
小論文ではどのようなところを見られているのか、解説していきたいと思います。
小論文で見られる3つのポイント
小論文試験で大きく見られているのが、次の3つのポイントです。
①文章力
②公務員としての目線・視点
③テーマに沿った回答ができているかどうか
今回はこの3つのポイントについて、なぜ必要なのかを具体的に解説します。
公務員試験の小論文で見られているポイント
①文章力

当たり前ですが、小論文試験が行われる以上、文章力は必ず見られます。
晴れて公務員となり、国や都道府県・市町村の仕事を行う中で、外部に送付する文書を作成する機会があります。
その文書はもちろん、市民を含む、それぞれの家庭に届くものも含まれます。
また、ホームページやSNSに事業の進捗状況をアップしたり、事業報告をまとめた文書を公開する機会もあります。
つまり、不特定多数の目に触れる文書を作成する機会があるのです。
拙い文章であったり、誤字脱字ばかりであったりすれば、すぐに市民から連絡が入り、対応に追われることになるでしょう。
それくらい公務員の文書作成の仕事は「外から見られている」意識が必要です。
そのため、外に出しても恥ずかしくない文章力は絶対に必要なのです。

小論文試験でも、いわゆる「てにをは」を含む文章力や誤字脱字の有無については最低限チェックされています。
書き終わったら必ず自分の文章を見直す時間を取り、全体を細かくチェックする癖をつけておきましょう。
②公務員としての目線・視点

見落としてしまいがちですが、公務員試験の小論文を書く上で絶対に忘れてはいけないのが「公務員としての目線・視点」です。
例えば、【ごみの有料化の必要性について述べよ】というテーマが出されたとして、どのような流れで小論文を作成しますか?
例として、次に二つの構成を用意してみました。
どちらの構成が、公務員試験により適しているでしょうか?
構成① ごみを有料化することでごみを減らし、地球環境を守っていく必要がある
構成② ごみを有料化することで自治体の歳入につなげ、財政面を確保する必要がある
一見すると、どちらの構成も問題なさそうに思えるでしょう。
基本的にはごみの有料化が必要、という前提で構成を作っていくと思います。
しかし、双方の構成には明確な「視点の違い」が存在します。
では、各構成における視点の違いを見てみましょう。
構成① ごみを有料化することでごみを減らし、地球環境を守っていく必要がある
→ごみを減らすというのは、ごみを出す側(市民)の視点。
構成② ごみを有料化することで自治体の歳入につなげ、財政面を確保する必要がある
→自治体の財政面を考えられた、公務員(職員)の視点。
この視点の違いに気付けるかどうかが、公務員試験の小論文におけるカギになります。
このように、小論文の構成一つで、その文章がどの目線で述べられているのかが浮き彫りになります。
公務員試験は公務員になるための試験です。
だからこそ、すでに「公務員の視点」が求められていることを念頭に置いておきましょう。

小論文のテーマを受けて文章を書くときに「自分の視点」の内容になってしまう癖がある人は気を付けてください。
志望する自治体にとってプラスになる内容であったり、貢献できる内容であったりする構成になるとベストです。
③テーマに沿った回答ができているかどうか

私は市役所を退職後、公務員試験の小論文を添削する仕事を請け負っていました。
そこでよく目にしたのが、「テーマに沿った回答ができていない結論」です。
小論文は大きく3つの構成、①序論→②本論→③結論になります。
では分かりやすく、上にも挙げたテーマ【ごみの有料化の必要性について述べよ】を例に話を進めて行きましょう。
まず、二つの簡易的な小論文を用意しましたので目を通してみてください。
小論文①
ごみの有料化は必要である。
近年、自治体の財政難が問題になっていて、当市も例外ではない。ごみの有料化は自治体にとっては大きな歳入源であり、財政難の中で恒常的な市民サービスを行うためにも必要な施策であると考える。また、有料化を行うことで環境問題を緩和できるというメリットにもつながることが期待される。
これらの点を踏まえ、ごみの有料化は自治体にとって必要な施策であると私は考える。
小論文②
ごみの有料化は必要である。
近年、自治体の財政難が問題になっていて、当市も例外ではない。ごみの有料化は自治体にとっては大きな歳入源であり、財政難の中で恒常的な市民サービスを行うためにも必要な施策であると考える。また、有料化を行うことで環境問題を緩和できるというメリットにもつながることが期待される。
これらの点を踏まえ、恒常的な市民サービスを円滑に行い、環境問題にも目を向けられるような公務員を目指したいと私は考える。
いかがでしょうか。
双方の小論文の違いは、最後のひと段落、つまり結論部分のみです。
では、二つの小論文の結論部分を見て行きましょう。
小論文①
①序論 まず自分が思う理由について書く
→「ごみの有料化は必要である」
②本論 なぜそう思うのかを具体的に述べる
→「近年、自治体の財政難が問題になっていて、当市も例外ではない。ごみの有料化は自治体にとっては大きな歳入源であり、財政難の中で恒常的な市民サービスを行うためにも必要な施策であると考える。また、有料化を行うことで環境問題を緩和できるというメリットにもつながることが期待される」
③結論 本論を受けて改めて自分の思う理由について書いて締めくくる←OK
→「〜であるため、ごみの有料化は自治体にとって必要な施策であると私は考える」
テーマ【ごみの有料化の必要性について述べよ】→結論【ごみの有料化は自治体にとって必要な施策である】←OK(テーマに回答できている)
このような流れで小論文を書くのがとても綺麗です。
しかし、③の結論部分が次のようになってしまう人が非常に多かったです。
小論文②
①序論 まず自分が思う理由について書く
→「ごみの有料化は必要である」
②本論 なぜそう思うのかを具体的に述べる
→「近年、自治体の財政難が問題になっていて、当市も例外ではない。ごみの有料化は自治体にとっては大きな歳入源であり、財政難の中で恒常的な市民サービスを行うためにも必要な施策であると考える。また、有料化を行うことで環境問題を緩和できるというメリットにもつながることが期待される」
③結論 自分の目指す公務員像を述べてしまう←NG
→「〜であるため、恒常的な市民サービスを円滑に行い、環境問題にも目を向けられるような公務員を目指したい」
テーマ【ごみの有料化の必要性について述べよ】→結論【恒常的な市民サービスを円滑に行い、環境問題にも目を向けられるような公務員を目指したい】←NG(テーマに回答できていない)
おそらく、論文を書いているうちに、志望動機などで考えた文章などが頭をよぎってしまうのだと思います。
ただ、小論文は志望動機ではなく、あくまでも「出されたテーマに沿って自分の意見を述べる」ものです。
テーマに沿った結論になっているかどうか、小論文を書き終えたあとに改めてチェックしてみてください。

小論文を書いているときは集中していますし、そのときの感覚や流れで最後まで書き終わっていることもあると思います。
ただ、書き終わったら必ず「テーマと結論」を見比べるようにしてくださいね。
まとめ

公務員試験の小論文では、文章力・公務員の視点・テーマに沿った結論であるかどうかを見られています。
いかに公務員の視点でテーマに沿った文章を書けるかどうかが肝になってきます。
すでに小論文の練習をしている人や、これから書いていこうと思っている人は上述した3つのポイントを押さえながら小論文対策を行ってみてください。
公務員を目指している人へ、少しでも参考になれば嬉しいです。
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