私は公務員試験を経て、地方自治体(市役所)で公務員として約7年間働きました。
そのため、公務員に必要な性格については熟知しているつもりです。
また、個人面接は得意で、個人面接まで到達した試験については不合格になったことがありません。
ここでは、そんな元公務員が、公務員試験の面接対策として、個人面接で見られている性格や、実際にあった個人面接の体験談を紹介していきます。
今後、公務員試験を控えている人はぜひ、参考にしてください。
公務員試験の個人面接で見られている主な性格3選
公務員試験の一次試験を突破すると、二次試験以降に待っているのは面接です。
そして、集団面接や集団討論以外に必ず行われるのが、個人面接です。
では、公務員試験の個人面接で見られている主な性格を3つ、紹介したいと思います。
①コミュニケーション能力

公務員の仕事、特に市役所ではコミュニケーション能力が必要とされています。
市役所では頻度は違えど、どの部署でも電話対応と窓口対応が必須と言っても過言ではありません。
市民や委託業者、関係団体などとの外部コミュニケーションに加え、他部署との連携、つまり職員同士の内部コミュニケーションが不可欠です。
コミュニケーション能力が低いと、市民対応でトラブルを招く可能性が高まります。
また、職員同士の関係に不和が生じ、職場で肩身の狭い思いをする場合もあります。
公務員を目指す場合には、コミュニケーション能力が必須であることを念頭に置いておいてください。
②忍耐力

公務員の仕事は、基本的に我慢の連続です。
電話や窓口で心無い言葉を浴びせられても、同じような暴言を吐いたり、逆ギレしたりすることは許されていないのが現状です。
また、上司からの命令には基本的に従わなければならないルール(地方公務員法第32条)があります。
そのため、自分が良いと思う方法で仕事を進められないこともあります。
そんなときに必要なのが忍耐力、つまりストレス耐性です。
公務員試験の個人面接では、わざとイラつく質問をする面接官がいるケースもあります(詳細は後述しています)。
忍耐力を見られる質問もあるため、苛立ちを態度に出さずに、冷静に対処することを心がけましょう。
③真面目さ

公務員に必要な性格の一つが、真面目さです。
真面目というのは、仕事を最後まで責任を持ってやりきる力があるかどうかということです。
公務員の仕事は多岐に渡りますが、市民の生活を支えて維持するという点では、どんな仕事も途中で投げ出すことは許されません。
公務員の仕事には、人命に関わるものがあります。例えば新型コロナウイルス対策や災害時(台風や地震など)の応援勤務などです。人命に関わるこれらの仕事を、途中で投げ出すような人は公務員として雇うことはできません。
公務員試験の個人面接では、発言や一挙手一投足からあなたの真面目さを見られています。
そのため、少しでも不真面目、無責任だと思われるような言動には注意しておきましょう。
【体験談】実際にあった個人面接から導く合格・不合格を分けた要素
ここからは公務員試験の個人面接について、私自身の体験談を交えて解説します。
実際の公務員試験における個人面接の位置付け
【一次試験】教養・専門試験(102人)
→ 【二次試験】小論文・集団討論
→ 【三次試験】個人面接
→ 最終合格者(12人) ※実質競争倍率8.5倍

各試験の合格者のみ、次の試験に進むことができるという感じです。
個人面接が三次面接、そして三次試験合格者が、最終合格者になるという状態でした。
筆者は個人面接を突破し、晴れて合格して公務員になれました。
個人面接の設定と役割
個人面接は次のような形式で2回行われました。
・個人面接1回目 対人事課職員(面接官5人)
→人事課長を含む、人事課職員との面接。和やかな雰囲気。
・個人面接2回目 対幹部職員・外部職員(面接官4人)
→副市長、教育長、外部職員との面接。厳粛な雰囲気。

それぞれで面接会場の雰囲気が違っていたため、対応力も試されていたのかなとも思います。
また、個人面接2回目では、圧迫質問のようなものもありました。
合格した私が実際の個人面接で行っていたこと
ここからは、公務員試験に合格した筆者が個人面接で行ったことを3つ紹介します。
ぜひ、面接時の参考にしてみてください。
①志望動機にオリジナリティを持たせた

私は高専時代に、志望先の市役所にインターンシップでお世話になった経験がありました。
そのため、志望動機もインターンシップの経験を交えたものにしました。
志望動機によくあるのが、「地元だから」「この町に貢献したいと思ったから」というものです。
しかしながら、誰でも語れるようなありふれた理由では面接官の印象に残りません。
「地元で〜といった出来事があったのがきっかけで、この町で働きたいと思った」「市役所を訪れたときに〜なことがあり、働くならこの市役所だと思った」など、実際のエピソードを交えてリアルなものにした方が良いです。
志望動機一つにしても、自分だからこそ語れる内容で面接官を惹き付けましょう。
②面接官を笑わせた

就職活動をしていた友人と、「面接官を笑わせたら勝ち」という会話をしたことがあります。
その友人は、面接官を笑わせた企業に合格し、無事に就職が決まりました。
そして私も、面接官を笑わせた市役所に合格できたという経緯があるのであながち間違いではないのかもしれません。
「面接なのに落ち着いているというか、あまり緊張していませんね」という面接官の言葉に、「人と話をするのが好きだからかもしれません」と答えたときに、面接官全員が笑っていたのを覚えています。
明るくハキハキと話をしながら、少し場が和むような、少しクスッと笑える回答をしてみるのも良いと思います。
あくまでも回答はポジティブな内容で、そして節度を守り、やりすぎには注意してくださいね。
③圧迫面接気味な質問に対して冷静に対処した

私は市役所を受ける前、他の場所で一年間働いていました。
その経緯について、2回目の面接で次のように質問がおこなわれたのですが、その内容と面接官の言い方が失礼で正直イラつくものでした。

「以前、働いていたところでESD(持続可能な開発のための教育)に関係する仕事に就いていたようだけど、これって意味あるの? 職場が広報していたとはいえ、世間には全然浸透していないし、こんなことやる意味ある?」
というような質問を受けたのです。
正直「お前、他にもっと言い方あるだろ」と内心イラつきました(筆者は短気です)。
ただ、個人面接中であったため、なんとかグッと我慢して次のように回答したことを覚えています。

「そうですね。仰る通り、広報をしていたとはいえ、世間にはまだまだ認知が低いかもしれません。ただ、これからの生活を維持していくためには必要な取り組みであると思っていますので、今後、もっと知ってもらうための企画や努力が必要であると感じています」
まず、面接官の言葉を受け止めて、次に繋げるような回答をしました。
今思えば、この際に忍耐力や冷静さを見られていたのかなと思います。
筆者同様に短気な性格の人は、面接時だけでもなんとか怒りをこらえてみてください。
試験中に「この人、不合格になりそう」と思った話
また、個人面接の順番を待っている段階で、不合格になりそうだなと思った人がいました。
後に同期と話したのですが、良くも悪くも皆の記憶にも残っていた人だったので、悪い意味で面接官の印象にも残ってしまったのかもしれません。
結論から言うと、その方は最終的に不合格でした。
7年間の公務員生活を経て、筆者が今思うことを考察しながら解説します。
個人面接を待つ間に配られた「入室する際のマニュアル」

指定された個人面接の部屋の前で、自分の番を待っていた時に渡されたのが、入室マニュアルでした。
マニュアルと言ってもその中身は「2回ノックして、失礼しますと言ってから部屋に入る」「着席前に自分の受験番号と氏名を名乗る」など、至極当たり前の内容です。
私は「入室についてのマニュアルを渡してくれるなんて丁寧な市役所だな」と思っていました。
ただ、一方でこのマニュアルの存在が緊張感を高めてしまった人もいたのです。
マニュアルに囚われすぎて面接室に入れない?

私の一つ前の女の子の順番が来たので、参考までに入室までの立ち振る舞いを眺めていました。
しかし、彼女は立ち上がるや否や、面接室の扉の前でフリーズ。
そして、入室することなく走って持ち場を離れ、人事の担当者を呼びに行ってしまったのです。
待っている私たちは驚いてその様子を見ていたのですが、彼女は人事担当者に「マニュアルに書かれていたことが分からなくなった」と訴えていました。
その後、再度入室方法を人事担当者から教えてもらい、彼女は何とか入室。
しかし、最終合格者に彼女の番号は無く、入庁時にその姿を見ることはありませんでした。
緊張しやすい人は念入りな事前準備を!

マニュアルは入室方法を確実に行うために、わざわざ事前に配ってくれたものです。
彼女は一見すると、マニュアル通りのやり方に沿う真面目な性格にも見えます。
しかし、面接室の入室一つにしても、即座に正しい対応ができない一面や、準備不足であることも窺えてしまう立ち回りだったように思います。
マニュアルを渡されたことに驚きがあったとしても、記載事項を暗記しなければならないような難題でもないため、対応すべきことであったと私は思います。
面接前は非常に緊張しますし、緊張の度合いは人によっても異なります。
ただし、公務員として働くのであれば、ある程度の状況対応力は必要です。
突然の電話、突然のクレーム、突然の災害対応など、公務員の仕事には突発的に処理しなければならないものがたくさんあります。
緊張しやすいことを自覚している人は、面接当日に最低限の緊張で済むよう、事前準備を念入りに行っておきましょう。
まとめ

公務員試験の面接、主に個人面接では「質問に答えながら、時に自分を律する」ことも大事です。
個人面接は「面接官という一人の人間と対話する場所」です。
そして、公務員としてのふるまい方を意識しながら回答することを忘れずに。
よりよい印象を持ってもらうためにも、きちんと面接官の目を見ながら、明るくハキハキとした受け答えを心がけてください。
公務員を目指している人へ、少しでも参考になれば嬉しいです。
【次回予告】元公務員が教える公務員試験の面接対策と体験談(vol.3 個人面接で実際に聞かれた質問編)
次回は「vol.3 個人面接で実際に聞かれた質問編」をお届けします。
他にも公務員や市役所の仕事などについて聞きたいことがありましたら、次のツイッターのコメントやDMで教えてください!
皆さんの質問や知りたい内容から、いろいろな記事を作っていきたいと思います。
【前回記事】元公務員が教える公務員試験の面接対策と体験談(vol.1 集団討論編)
前回は「vol.1 集団討論編」をお届けしました。
未読の方はぜひ、こちらの記事も併せてお読みください。
【参考】公務員試験の勉強をするなら、予備校を活用するのも一つの手!

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